それでも青が好き

今日読んだ本の話をします。

タタール人の砂漠/ブッツァーティ

読みたいと思ったきっかけは多分バーナード嬢で「若いうちに読んだ方がいい」的な感じで紹介されてたのがきっかけだったんじゃないかな。無情。ボタンを掛け違えてしまった事に気付いた時にはもう引き返すわけにもいかないぐらい隔たってて、足掻くでもなく変化を求めるでもなくしかたなくそのまま歩き続ける、消極的な選択という形でそれを選ぶ事を重ねてきた成れの果て。一冊が人生。例えば恋のようなものの芽生えの対象がなりふり構っていられないぐらい離れたくない人だったら良かったのに。何でもいいから誰にも遠慮してなどいられないぐらいに成し遂げたい事があれば、或いはそんなもの無くても誰かへの遠慮など知らぬフリして平気でいられるぐらいの厚かましさを持っていたら。様々な選択の場面があったのに動かず選ばずを積み重ねてきたその先(全部俯瞰できる読者である側がそんな指摘するのは狡いことなんだろうけど)。読み終わった今では道満晴明メランコリア』1話の台詞「この10年何もしなかった、こんな無為に生きて死ぬのは嫌だ!」って台詞がめっちゃ頭の中をぐるぐる。そして自分の人生を省みたら虚しさで恐くなってくるから意図的に思考を中断する。何も為さず何も残さず無駄に二酸化炭素を排出してるだけの存在だと気付いてしまわないように。スマホばっか触って無為に時間を溶かすのもいい加減やめないと。新年早々暗いけれどそういう決意をできたから悪くない読書体験だったのではないかな。

 


・手のひら返し de あっせんなよ ≪内藤哲也のホンネ録≫/内藤哲也

プロレスラー内藤さんの様々な表情が見える一冊。昨夜はこちらを読了してから電気を消して眠りについたので、実はブッツァーティよりも先に読んでました。読書っていいよね、ブッツァーティの本みたいに他の人生を体験して内省のきっかけを貰えたりもするし、本書のように住む世界が全然違うひとの肉声をむかいあわせで正座するような距離感でお聞きする事もできるし。冷静な分析力と自己プロデュース能力の高さが垣間見える発言の数々がすごく面白かった。かと思ったらプライベートではサブウェイ推しだったりメロンソーダ好きだったり(こないだの東スポのネットニュース写真でも飲んでたね)、ダリルが猫である事すら知らなかったっていう天然な部分を覗かせたりしてて、そういうギャップにも弱い私しっかりすっかりメロメロです。ちょろいって言うな。著作も読んだしApple Musicとはいえ『STARDUST』をここ最近毎晩聴いてもいるのでそろそろファンを名乗らせて欲しい。そんでもって今年の東京ドームの対戦カードや結果を知った上で読んだので、2017年と2018年の内藤さんが詰め込まれてる本書はエモさ大爆発でした。プロレスって凄いんだな。

 


いつの間にやら2020年に突入してますね。こんばんは。昨年は毎日ブログという体で何かしら書き続けた1年だったんですけど、それを終えて数日が経った今は夜に自由に使える時間が増えたことがめちゃくちゃ嬉しい反面アウトプットの頻度が減った事で頭の中に言葉未満のものが溜め込まれてる感じがしていまいちスッキリしない日々が続いているのも確かです。同じような事このブログの最初の記事にも書いてて成長がないと言われたら返す言葉もない。読書メーターの感想欄って255文字まで書けるんですけど、真剣に削って研いで255文字に仕上げた後に字数制限に縛られずに思ったことをダラダラ書き連ねる中で、真剣に削って研いでる時には出てこなかった発想がポンと出てきたりして自分でも驚く事があってですね。だからやっぱり時々は書いていきたいです。溜め込んでも多分いいことないし。

最近は比較的穏やかな毎日を過ごしています。というより年末が慌ただしすぎたんだ確実に。そんでもってこういう時になってどれだけ大きな存在なのかを思い知るのもバカタレだとも思うけど、元気で健やかでいてくれるなら何でもしたいよ。

わたしが使える言葉には限りがあるから、せめて少しでも正しく届いてくれるよう祈るばかり。一方で正しさって何だ?と思うわたしもいる。そういう話をしたい。